本校3学科の、平成29年度国家試験合格率を報告させていただきます。
介護福祉学科 100%(全国平均70.8%)
作業療法学科 100%(全国平均77.6%)
言語聴覚学科 86%(全国平均79.3%)
お知らせが遅れてしまいましたが、いずれの学科も全国平均を上回ることができました。
地域で活躍できる専門家を育てられるよう、今年度も引き続き努力していきたいと思っています。
今日は、言語聴覚学科1年生の授業を覗いてみることにしましょう。
教科は『基礎介護技術』、講師は本校 介護福祉学科の和久井愛先生です。
この授業では、例年、初回の授業で『障がい体験』を行っています。
まずは、使い慣れた利き手とは反対の手で折り紙を折る体験。
利き手交換をしているので通常よりも倍以上の時間がかってしまいます。“鶴”も複雑すぎて最後まで折ることができません。
白内障の体験では、疑似体験できる特殊な眼鏡をかけて針に糸を通してみました。
視界の先にはどのような視界が広がっているのでしょうか。
また、失語症の疑似体験では、音声言語ではなく身振りで伝えることの難しさも経験しました。
一生懸命伝えようと身ぶり手ぶりを駆使してもなかなか伝わらないものです。
「先生、どうしよう」「全然伝わらないです」と学生達も悪性苦闘の表情でした。
相手に思いが伝わらない事のもどかしさを感じることができたでしょうか。
聞く側の姿勢も大切です。相手のことを知りたいという姿勢があってこそコミュニケーションは成立するのです。
今回の障がい体験を通じて、何を学び、どう感じてくれたでしょうか。
本校では、教科書だけでは感じることができない“experience-based learning(体験型学習)”を大切に。
1年生のこの時期から講義(知識の習得)→実践(体験)→振り返り(ディスカッション)というスパイラル方式の授業を展開しています。
さて、次はどんな気づきや発見が学生たちを待っているのでしょう。今から楽しみです。
言語聴覚学科 教員 森 晃雄
入学式から1週間が経ち、新入生オリエンテーションもひと段落ついた金曜日の午後、新しい仲間へ歓迎の意を込めて学科交流会を開催しました。
開始直後の自己紹介では少し緊張気味でしたが、それぞれのテーブルごとに分かれてからはその緊張もほぐれたのか、笑顔で自分の出身地の話題や特技・趣味などを話してくれました。
上級生達からは、授業の話、休日の過ごし方、アルバイトなど勉強面や生活面をアドバイス。
今年も岐阜県内のみならず、東北地方や北陸地方など全国から新しい仲間がわが校へ集いました。
実は、上級生の中にも信州や関西出身者が在籍しているんですよ。
「いろんな地域出身の方々と一緒に学べるって楽しいですよね」と、感想を述べてくれた1年生のA君。
それぞれ生まれ育った地域や環境は違いますが、各地から言語聴覚士を志す若人が、岐阜県にあるこの学び舎を選んで来てくれています。
それがこの小さな学校の大きな自慢なんです。
新入生の皆さん。ようこそ自慢の学び舎へ。
この3年間で色々な発見をしてください。
そして色々な経験をして下さい。
教職員一同、皆さんの羅針盤となって言語聴覚士の夢をサポートしていきます。
言語聴覚学科 教員 森 晃雄
言語聴覚学科3年生は、今日から視覚聴覚二重障害の講義が始まりました。
文字通り、視覚と聴覚に障害を持った方の生活や社会資源について学んでいく講義です。
講義を担当して下さるのは、当事者でもある上野先生です。
今日の講義では、視覚聴覚二重障害の概論に加え、視野狭窄(視界が狭い)の体験や、全盲(全く見えない)の体験をしました。
Low Visionキットという特殊な眼鏡をかけ、視野狭窄の体験。
ホワイトボードに何が書いてあるか読んでみたり
クラスメイトがどこにいるか、手探りで探したり
距離感が掴めずに苦労をしている学生もいました。
全盲の体験では、介助者に手を引かれ、行先が分からないまま移動をしました。
「見えない」怖さからか、介助者がしっかり手を握ってくれていても、へっぴり腰に。
「ここで待ってて」とだけ伝えられ、介助者が離れてしまったため、どこか不安そうにたたずんでいました。
また、アイマスクをしたまま折り紙を折ってみました。
クラスメイトが何を折ったか手探りで確認。
なかなか芸術的な作品に仕上がりになりました!
人は、様々の情報の約80%を、視覚から得ているとされています。
その視覚情報が完全に遮断されたとき、学生たちは声をそろえて「怖かった」と話していました。
では、この「怖い」という感情は、どうしたらなくなるのでしょうか?
その答えは、講義の最後に先生がお話しして下さった中にありました。
「初めて会った人でも、どんな楽しいところに連れて行ってもらえるかワクワクします。介助してくれる人を、信頼することが大切です。」
リハビリをする上でも欠かせない信頼関係について、またいつもと違った方向から学ぶことが出来たのではないかと思います。
さて、次の講義ではどのようなことが学べるのか、楽しみです!
(言語聴覚学科 教員 板津)
学内での講義を通して学んだ知識を、病院や施設などの現場で実際に検査や訓練を行い、実践力をつけることが臨床実習の目的です。現場での発見と感動は、一人ひとりを成長させてくれます。
この冬、言語聴覚学科の2年生は1ヶ月の臨床評価実習を経験しました。
以下は先日行われた報告会の様子です。
先輩の発表の内容に耳を傾け、メモをとる学生の表情も真剣そのもの。
別の病院に行った同級生からも質問が飛び交います。
現場では机上のテストのように決まった正解はありません。
その場でその都度考えながら、自分で答えを導き出さなくてはならないのです。
大切なことは、もがきながらも自分なりに何かしらの答えを出すこと。
その過程で、「なぜ?」「どうして?」と考えたり、「あーでもない」「こーでもない」と色々な可能性を探ることが大切なんです。
「自分の考えが間違っているんじゃないか?」と思ったりしていませんか?
不安のあまり「緊張する」と萎縮し過ぎていませんか?
ある実習先の先生がおっしゃっていました。
「患者さんにとって一番良い方法は何なのか。色々手探りしながら考えることが大切なんです。その過程にさまざまな選択肢があるけど何が正解なのかは、やってみないとわからない。だから、自分で出した答えが仮に間違っていたとしてもそれはそれでいいんですよ。自分で考えて出した答えなんだから…」
不安でいっぱいだった学生は、その言葉に「嬉しかったです」と目に涙を浮かべながら笑顔で話してくれました。
彼女にとって、きっと忘れられない実習になったことでしょう。
実習は学生を成長させてくれます。
また、患者さんから学ばせていただいていることを改めて感じる瞬間でもあります。
そして、私たち教員は、その懸命な学生の姿からこう学ぶのです。
『初心忘れるべからず』と。
言語聴覚学科 教員 森 晃雄